ショパン幻想即興曲解説と聞き比べ5選-憧れのピアノ曲の定番曲 | ショパンを弾くには？曲の難易度、曲目解説、ピアノの弾き方を解説

リ・ユンディ

イケメンのリ・ユンディによる幻想即興曲です。

かなり快速なテンポで演奏していて、この曲がとても簡単な曲に思えてくるほど アッサリと演奏しています。

ハイテンポであるにもかかわらず決して崩れることなく、一音一音が綺麗になり響き 流暢な仕上がりになっているのは リ・ユンディが圧倒的なテクニックを兼備しているからこそ成しえる技です。

何度聴いても惚れ惚れしてしまう名演の一つとして心に深く刻まれることでしょう。

ヴラディーミル・アシュケナージ

アシュケナージは 優れたテクニックによる明快な美しいタッチといい豊かな詩情あふれる表現力 といい、内面的な美しさをたたえた調和のとれた瑞々しい演奏を披露するピアニストで 聴くたびに惚れ惚れさせられてしまいます。

名曲中の名曲である幻想即興曲は独特のロマンティシズムの世界を構築しつつ 哀愁や息苦しいほどの激情といい生き様がオーバーラップして聴く者に 差し迫ってくる演奏に仕上がっています。

万人のお手本になりうるスタンダードな名演として 一人でも多くの人に聴いていただきたいと思います。

ダン・タイ・ソン

1980年ショパンコンクールで優勝したダン・タイ・ソンは ガラス細工のような繊細でやわらかいタッチが魅力のピアニストです。

幻想即興曲を聴いてみると、 決して派手なテクニックに溺れることはなく、あくまでも自然の 流れで進む中に微妙なタッチコントロールで美しく聴かせる 穏やかな表現力は称賛に値するレベルです。

中村紘子

中村紘子は 日本のクラシック界のトップに君臨する大物ピアニストとして知られていますが、 女性にしては結構力強い演奏を披露してくれるのが大きな特徴といえます。

緻密にコントロールされた確かなテクニックと明晰な視点に支えられた 合理的で読みの深い演奏スタイルは称賛に値するレベルであり、 幻想即興曲の中間部の美しい旋律はたいへん繊細な演奏に仕上がっており、聴く者を幸せにしてしまう パワーが感じられます。

エフゲニー・キーシン

ロシア生まれで若き時代から神童と呼ばれていたキーシンはロシア音楽で大きな力を 発揮するのはもちろんのことショパンでも素晴らしい演奏を披露しています。

かなりハイテンポな幻想即興曲は、難しいパッセージも難なく弾きこなしてしまい、 中間部の緩やかな曲想のパッセージは、しっとりと味わい深く仕上げており たいへん感銘を受けます。

このような演奏ができるのは、キーシン自身が恵まれた素質を持ち、 それを活かしながらも作品に対するいっそう鋭い解釈と、演奏の 構築力を高めてきた成果なのだと察しています。